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台湾の鉄道2017 ベトナムの鉄道2018
2017年12月、南のホーチミン市から北のハノイ市まで鉄道で移動し、その後、ハノイ周辺の2路線を乗りつぶしました。その報告です。
ベトナムは南北に長い国です。鉄道は国鉄です。北の中心地、首都ハノイから南の中心地ホーチミンまで1700kmを結んでいるのが南北線で統一鉄道と呼ばれています。
この距離は日本では青森-博多間に相当します。
軌間は1000mm、列車はすべてディーゼル機関車が引く客車列車です。また、貨物列車も数多く見ました。
2017.12.11 貨物列車
今回は全国の時刻表が手に入りませんでした。時刻表が存在するかも不明です。
統一鉄道の特急列車はベトナム鉄道のHPで確認できますが区間列車や他の線区は不明です。
仕方がないので、駅や車内の時刻表をスマホに撮りそれを見ながら自分の位置や次の停車駅等を確認しました。
ハノイの駅に貼ってあった時刻表からハノイ発の路線一覧表を作成しました。距離はWikipediaより。
終点 | 距離km | 列車本数 | 備考 | |
1 | ホーチミン | 1726 | 多数 | これ以外にも区間列車がありそう |
2 | ラオカイ | 296 | 4 | ラオカイまでの列車3本はすべて夜行 |
3 | ハイフォン | 102 | 4 | 出発駅はほぼロンビエン |
4 | ドンダン | 162 | 1 | 出発駅はほぼロンビエン |
5 | クワンチュウ | 75 | 1 | 出発駅はほぼロンビエン |
(1)のホーチミン-ダナン間の寝台は直接ベトナム鉄道のサイトからネットで購入しました。英語のサイトだったので同行者に取ってもらいました。
値段は2人で手数料5USD込みで137USD、日本円では一人8000円程でした。日本で旅行社に頼むよりはかなり安いですが、時間がかかるので30日以上前に予約することを勧めます。
(2)から(4)までは単独行動です。
きっぷの購入は現地の窓口です。待ち時間も少なく、日時・行き先・シートかベッドかを書いた紙を持って行くと購入できます。
英語が通じにくい国ですが、数字を紙に書いたりしてどうにかなりました。統一鉄道の特急列車は購入時にパスポートが必要です。
(3)と(4)は当日、窓口で購入しました。ドンダンまで160km、4時間の乗って70,000VND、日本円にすると350円程ですからとても安いです。
この2線は普通の生活路線なのでお金さえ出せばすぐに切符が買えます。
2017.11.14 ネットで購入したサイゴンからダナンまでの寝台切符、上半分
2017.12.10-14 現地窓口で購入した切符3枚
切符にはQRコードが印刷されていますが現地で読み取ったことは一度もありませんでした。また、乗車時はきちんと切符を確認しますが下車時は確認も回収もありません。
ホーチミンの出発駅はサイゴン駅です。駅に行くのはタクシーを使いました。バスもありますが乗り遅れると大変なのでここはタクシーを勧めます。
「ガー サイゴン」と言ったら通じました。ダメなら切符を見せるのもいいかもしれません。
寝台は快適で白い塗装の客車は新車です。ソフト寝台は1部屋4人2段寝台のコンパートメント、ハード寝台は1部屋6人の3段寝台のコンパートメントです。
食事が心配で、食料を持って乗り込みましたが、3食とも車内販売が来たので食事には困りませんでした。
長距離列車なので大きな駅に着くと15分間停まり、給水と台車の検査があります。係員がハンマーですべての台車をたたき、車軸を手で触って確認していました。
また、売店も列車の停車時刻に合わせて開くので食料などの品を購入することもできます。物売りも来ます。
ダナン駅はスイッチバックです。15分の停車の間に機関車を付け替えます。分岐点は三角線になっていて貨物列車はスイッチバックせずに通過できます。
2017.12.10 夜のサイゴン駅
2017.12.10 回送用の機関車
2017.12.10 手前はハード寝台車、車号はBn、次はソフト寝台車、車号はAn
2017.12.10 新しいソフト寝台車の内部
2017.12.10 新しいソフト寝台車の通路
2017.12.11 朝購入した肉入り餅とゆで卵
2017.12.11 車内販売
2017.12.11 新しいソフト寝台車の台車、車号はAn、Aネ と覚えた
2017.12.11 構内売店、DIEU TRI駅
2017.12.11 給水と検査、白いのは新しい車両、DIEU TRI駅にて
2017.12.11 昼に購入した弁当
ダナンからは一人でソフト座席車に乗りました。寝台は満席になることもあるようですが、この日のソフト座席車の乗車率は30%程でした。
旧正月などに当たらなければいつでも切符が買えそうです。ただ、全列車で全車指定なので満席なら切符を買えないでしょう。
この区間で有名なのはダナンからフエまでのハイヴァン峠です。海岸近くの山を越えます。途中信号所が連続し貨物列車は補機が付いていました。
フエから夕方になりました。北上するに従い寒くなってきましたが、飛行機のように夜、毛布の配布がありました。
2017.12.12 ダナン駅
2017.12.12 「きかんしゃトーマス」に出てきそうな本線用機関車
2017.12.12 ダナン駅構内配線図、左下にラケットループが見える
2017.12.12 ソフト座席車車内、中央のみ固定テーブルあり、座席の向きは変えられない
2017.12.12 ハイヴァン峠を行く
2017.12.13 早朝到着したハノイ駅構内、跨線橋を見たのはここだけ
休日はハノイ駅から出発するようですが、平日は7時台にハノイの隣りのロンビエン駅から出ます。さらに一つ先のザーラム駅からプッシュプルで回送してきます。
出発時もザーラム駅まではプッシュプル、ザーラム駅で後部の機関車を切り離します。編成は機関車-電源車-5人掛けのハード座席車-普通のハード座席車-荷物車、全部で5両編成です。
この線区で特筆されるのはザーラムからドンダンまで157kmが3線軌条です。これはドンダンの北から中国の車両がザーラム駅まで乗り入れるからです。
この間はすべての分岐器が3線対応です。でも週2往復程の列車のためにこれだけの距離の3線軌条を維持するのは不合理と思われます。
ザーラム駅には中国の客車が留置されていました。
さて、車内は、と言うと普通のハード座席車の客は6人程、便乗でしょうか制服を着た人が8人程乗っていました。もう1両の5人掛けのハード座席車も10人程の乗客でした。
ほとんどの乗客はドンダン駅の一つ手前のランソン駅までなのでドンダン駅まで乗り通したのは4人程でした。
こんな訳で、座席は指定されているのですが自分の席に座る人はいません。
ドンダン駅は国境の駅、街はランソン駅なのでドンダン駅の周辺は食べ物屋が3軒程あるだけです。
駅職員以外は人が見当たらず帰りの列車が出るまでの4時間を過ごすのが大変です。駅横の店で食事を終えた頃、中国からの貨物列車が到着しました。
汽笛を鳴らしながら駅に接近してきたので分かりました。構内で機回しを終えるとそのまま来た方向に戻って行きました。貨物駅があるのでしょうか。
駅員にベトナム語で聞くこともできず不明です。構内はまた静寂に包まれました。私は一駅手前のランソンの町にタクシーで戻りランソン駅から帰りの列車に乗りました。
帰りの列車はハノイ駅行でしたので貴重なハノイ-ロンビエン間も乗車することができました。
このドンダン往復、朝から夜までかかりますが、鉄道ファンにはたまらなく面白いのでお勧めです。
次の日はハイフォン往復です。今回も出発地点はロンビエン駅、ザーラム駅からのプッシュプルもドンダン行きと同じです。
異なるのは編成が長くソフト座席車がほとんどで、切符購入窓口では特に言わない限りソフト座席の切符が来ます。また乗客も多かったです。
ハイフォンから帰りはバスで帰ろうとバスターミナルまで歩いて行ったところ、なんと工事車両が動き回っています。明らかに取り壊されています。
新しいバスターミナルはかなり遠そうです。仕方なく駅に戻り列車でロンビエン駅まで帰りました。
驚いたのは荷物車にはバイクが載せてあって、ザーラム駅で自分のバイクを荷物車から降ろしてもらった乗客はホームからバイクに乗って帰って行ったことです。
2017.12.14 ハイフォン行き列車、ロンビエン駅
2017.12.14 サボ、数字は号車番号
2017.12.14車内で買った蒲鉾を挟んだ餅
2017.12.14 ハイフォン駅
2017.12.14 ザーラム駅で後部に回送用機関車を連結
2017.12.14 南寧行きのサボ、ザーラム駅
2017.12.14 荷物車から降ろしたバイクに乗って帰る人達、左は中国車両、ザーラム駅
ベトナムの鉄道は機械化が遅れていて職員の数が多いです。1日に1往復しかないランソンの駅では切符売場だけでも2人の職員がいました。
他の仕事もするのでしょうが、この日売れた乗車券は10枚未満と思われます。いくつかの駅では腕木式信号機も見かけ、構内のポイントも手動です。
また、途中の踏切では複数の人が遮断機を横にずらし車を止めています。
余裕があるだけ、職員は親切でした。運転所で構内配線図の写真を快く撮らせて頂いたり、感謝でいっぱいです。
帰国してベトナムの地図を見ていたらニャチャンの駅もスイッチバックでした。三角線はないのですが、駅の先にラケットループがあります。
サイゴン駅からダナンまで進行方向は変わっていないので私達が乗った列車もこのラケットループで方向転換したに違いありません。早朝の通過で分かりませんでした。
次回はニャチャン駅でこのラケットループを通過する列車の様子をゆっくり見てみたいと考えています。
見てきたら、ベトナムの鉄道2018、で報告します。
メールアドレス: tetuisi2018@yahoo.co.jp